五七五の思考回路

 毎日、俳句ばかりを詠んでいる人に出会ったことがある。俳句生活の実践者である。何を見ても俳句になるのだそうである。俳句にしてしまうのだそうである。これは凄いことである。おそらくその俳人の思考回路は五七五のリズムで考える構造になっているのかもしれない。冗談でそんなことを言っているのではない。真面目にそう思うのである。五七五のリズムで無意識に考える思考回路、これは俳句にとってとても重要である。
 もしかしたら名のある俳人はみんなそうなのではないかという気もするのである。佳句、秀句が詠みたければ、日々俳句のことを考え、五七五のリズムで対象を把握していると素晴らしい句が発見できるのではないか。私もそんな環境に自分を追いやって俳句を詠んでみたいと思う。だが、これはよほどの覚悟が必要である。仕事、家族、生活などの多くの犠牲がつきものである。しかし、である。それだけの犠牲を払っても佳句、秀句が確実に詠めるとはかぎらないのである。五七五のリズムだけしか残らないことも考えられるのである。これは博打である。しかし、一度はやってみたい博打である。

                                       2007.10.27