秋の声という季語その他
「秋の声」という季語がある。意味は、秋になると物音も敏感に感じられるようになり、風雨の音や物の音など、しみじみと感じられるようになるとのことで、それを季語にしている。だが、春の声、夏の声、冬の声という季語はない。それらの季語もあってよさそうに思う。春の声なら、植物の芽吹き、雪解けの小川のせせらぎ、小鳥のさえずりなど、秋の声と比較しても決して劣ってないであろう。夏木立に冬木立があるように、秋の声に春の声があってもよいし、季語としての雰囲気も十分持っているであろう。
春の声満ちたり山に街中に
では、夏の声はどうであろう。夏の声というとどうも蝉時雨ばかりという気がする。いろいろな夏の声があまり聞こえてこないのである。この季語は難しい気がする。
では、冬の声はどうであろうか。野山は吹雪き、動物は冬眠し、人影の少なく、全体に寂しい雰囲気が感じられる。夏の声よりも季語になるように思える。しかし、それが可能としても難しい季語であろう。
結論として、秋の季語の対比としての春の季語は認めてもよいのではなかろうか。その方がバランスがとれていると思う。
2005.11.20
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