不思議な季語
                                      

 「亀鳴く」「蚯蚓鳴く」「山笑ふ」などの季語がある。何とも不思議な季語である。よく季語に認知されたものだと思う。これらは昔からあるらしい。遊び感覚で作られた季語であろうか。これらの季語には俳諧の精神が感じられる。風景を見ながらこれらの季語を使って句はなかなか作れないであろう。写生派には無縁の季語かも知れない。句会などで席題として作られてきたのではなかろうか。できたとしても心象の句となるが、何となく楽しくユーモアに満ちた句ができそうである。だがこれらの季語には季感があまり感じられないのである。季感を離れた特殊季語ということであろうか。
 またこれらの季語があるなら、似たような心象の季語がもっとあってもよいということではなかろうか。たとえば、「山笑ふ」なら「山泣く」とか、「海笑ふ」とか考えられるであろう。こういう言葉を使ってよい句ができたなら新季語として認められるのかも知れない。でもよい句はできそうもないように思えるが・・・・。


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