夫婦で俳句

 夫婦で俳句を趣味にしている方は以外と多いのである。とても羨ましいと思う。私も妻が俳句を趣味にしてくれたなら、一緒に吟行に出かけたりして夫婦合和することができると思うのである。
 しかし、である。夫婦で俳句を詠む方々はお互いにあまり相談しないそうである。句会に出る場合、決して相手に作品は見せないそうである。夫婦でお互いの作品を選んだりすると恥ずかしいのだそうである。それは何となく分かるように思う。お互いに俳句を選びあったりすれば、「合議しているな」などと疑われてしまうからである。であるから、最初からお互いに選ばないようにしようと話し合ってから句会に参加する夫婦俳人もいるそうである。私はそれほど避ける必要もないように思うが、夫婦で句会に出ている姿を見ると実に羨ましいと思うのである。恐らく普段から仲の良い夫婦なのであろう。話し合う話題には決してことかかないであろうから、「沈黙の中年夫婦」にはならないであろう。
 だが、思うのである。夫婦で有名俳人はいないな、と。何故であろう。一組位あってもよさそうである。どちらかが遠慮するのであろうか。それとも俳句の女神が嫉妬して、夫婦に才能を与えないのであろうか。そういえば、親子で有名な俳人は時々いるのである。詩人の才能が親子で遺伝するのであろう。夫婦は遺伝子は全く関係がないので、そういうことになるのであろうか。だが、「夫婦俳人」、実にいい響きである。眺めていて楽しそうである。しかし、男性の方が才能がない場合、少し格好がつかないようにも感じる。力量に差が出てしまった場合、やめてしまうかも知れないな、と思うのである。つまらない思い過ごしであろうか。おそらくそうなのだろう。兎に角、「夫婦で俳句はいいな」と思う次第である。

                                       2007.10.12