俳句の旅

 俳句の旅をしてみたいものである。日本国中の名所を訪れて俳句を詠むものいいが、芭蕉を真似て、「奥の細道」を旅して、芭蕉が句を詠んだ処で句を詠むのもいいな、と思うのである。あるいは外国に出かけ、たとえば「イタリア旅行俳句」などというものいいかな、と思うのである。考えるだけでとても楽しいのである。しかし、無理なのである。働きつづけなければならない生活環境である。空想の世界に浸り、近くの小川をナイル川と空想し、わが家の犬をスフィンクスと空想し、公園の砂場を砂漠と空想し、
「ナイル川常夏の国を流れけり」
などと実感のない句を詠むのである。さて、季語は「常夏」なんだろう。これは新季語にもなるかな、などと思うのである。「常夏」という季語は「外国季語」ということなんだろうな、これは新しい考え方かな、などと思うのである。
 これも俳句の楽しみ方かな、と思うのである。俳句は金がなくてもやれるとても良い文学だと思う。だが、これで秀句や名句が詠めるのであろうか・・・。だんだんと空しくなってきたので、これ以上考えるのは、今日はやめることにするのである。

                                        2007.10.8