「春の」という季語
春の部の歳時記を開くと春の名詞の付いた季語がいくつも見られる。例えば、春の暮、春の朝、春の空、春の雲、春の月、春の星、春の雪、春の虹、春の雷、春の山、春の野、春の水、春の川、春の海、春の波、春の服など、まだまだあるかも知れない。これらに共通していえることは、五文字であるということである。また、「春の」の後に続く名詞はよく俳句に使用されやすいという特徴が見られる。それから、「空」だけならば季節感は何もないが、「春の」という名詞をつけることにより、春の季語になるということである。
無季語の場合、例えば春という名詞を付けて「春のキリン」とか「春の湖」「春の女」「春の恋」「春の道」「春の化粧」などと季語化して使用することができるということである。また、「春のペリカン」という季語は七文字であるが、五文字扱いで使用すれば季語の活用を拡大することが可能であろう。感覚的には「春のペリカン」は句の上句や下句につけて、五文字扱いでも違和感はないであろう。
「春の」が付くと五文字扱いが感覚的に可能であろう。「春の」という言葉はとても便利である。これは「夏の」「秋の」「冬の」でも同じことである。
2007.9.24