嫌がられる季語を詠む

 アブラムシ、蚤、ぼうふら、蠅、百足虫、蚯蚓、蛆虫、なめくぢなどの嫌がられる季語を如何に詠んだらいいのだろう。むずかしい課題である。
 まず、その季語(対象)の特徴を理解し、ぼうふらのどんな部分が嫌われて、どんな部分がおもしろそうなのかなどを分析すべきである。また間接的に詠むという手もあるかも知れない。
 ぼうふらのおもしろそうな処は、水の中でふらふら揺れ動いたり沈んだりする処であろうか。蚤はジャンプが凄いからそこを詠むとか。アブラムシから出る汁を蟻が嘗めるのでそこを詠むとか。百足虫はやはり足を詠むべきであろうとか。蠅はそのまま詠まず蠅叩きのようなもので、間接的に詠んでみたらどうだろうとか。・・・どうであろう。そんな処を詠んでみるとよいのではなかろうか。

人生の如ぼうふらや浮き沈み           孝治
背丈より遙かに飛んで蚤消えつ         孝治
アブラムシ蟻従へて茎吸へり           孝治
踏みつけし百足虫の足やバラバラに       孝治
蠅叩き持ちて待ちゐる男かな           孝治
干からびて転がつてゐる蚯蚓かな       孝治
蛆虫や顔突つ込んで腐肉食ふ          孝治
なめくぢや振り向くことなく前進む        孝治

 うーん、正直な処、なかなか不気味ではある。しかし、こういうものでも季語として存在しているのである。俳句は実に奥が深いなと思う。 不快感を与える季語を意図的に詠んでみるのも一興ではないであろうか。

                                           2007.11.4