歳時記の時候

 歳時記は「春・夏・秋・冬・新年」に分類されており、それぞれはまたいくつかに分類されている。たとえば春ならば、「時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物」と一般的に分類されている。今まであまり気にもしていなかったのであるが、ある日ふと時候という言葉が気になりだしたのである。天文や生活、植物などの分類項目は直感的に理解できるが、時候はどうであろう。日常にはあまり使用されない言葉である。「時候のあいさつ文」という言い方を聞いたことがあるが、遙か彼方の記憶である。それで辞書で調べると「四季折々の気候。その時々の陽気。例文『時候の挨拶文』」と簡素に書いてあった。これでは分かるようでよく分からないのである。角川の歳時記を開いてみると、春の時候には「立春・春分・二月・三月・四月・春の朝・春の宵・暖か・麗か・花冷え・行く春・夏近し」などが載っていた。要するに春分のようなカレンダーに載っているものと暑さ寒さなどの気温に関係するもの、時期に関するものということであろうか。

○カレンダーに関するもの・・・・・二月・立春など。
○気温に関するもの・・・・・・・・暖か・花冷えなど。
○時期に関するもの・・・・・・・・春の朝、春の宵など。

 さて、季語の王様である「春」は何であろう。王様は分類項目に入れる必要もないと思うが、時候ということになっているのである。恥ずかしながら春が時候であることを知らなかったのである。基礎基本を学んだ次第である。歳時記には古人の素晴らしい知識がつまっているのである。探ればいろいろな何かが発見されるであろう。探るためには、真よりも新の姿勢が大切である。

                                          2008.10.21