季語の大きさを考える
季語の中で最も大きなものは何であろう。歳時記を眺めてみるが、やはり「天の川」であろう。天の川の直径は約十万光年である。想像できない位の大きさである。芭蕉はこの季語で名句をものにしている。
荒海や佐渡に横たふ天の川
芭蕉
実に大きな景色であり、「俳句の宇宙」そのものを表現している様に思える。芭蕉はやはり天才である。季語として最も大きいものを句にし、これが名句となることを確信していたのである。
さて、私も大きな季語で名句をものにしたいと考えるのであるが、天の川では二番煎じであるので、まあ、そんな風には実際に考えないが、二番目に大きな季語は何であろう。 一番は目立つが、二番目というのは少し難しいのである。やはり天文であろうから、「月」ということであろうか。しかし月の名句はたくさんあるので、やめることにするのである。ここで大きな季語を新たに作るということも考えたが、やめることにするのである。どうもやめることが多いのである。あまり頭が働かないのである。
さて、最も大きい季語があるのだから、最も小さい季語は何であるかという疑問が湧くであろう。歳時記を眺めてみよう。やはり夏の季語である「黴」であろうか。黴は若い頃部屋隅で無意識のうちに飼っていたこともあるので、親近感もないわけではないが、どうも名句はできないような気がするのである。だが、黴の写真を眺めてみると宇宙の星やガスの集まりにも似ているのである。大きいものは小さいものと似ているということは面白いことではある。この辺りに俳句の世界が・・・・・・などとは考えられないであろうか・・・。あまり考えない方がいいかも知れない。
2008.5.5