切れ字の分類
俳句の代表的切れ字は、「や」「けり」「かな」である。これを同じように考えている方が圧倒的に多いが、使用方法が「や」と「けり」・「かな」とでは異なっている。「や」は、上句に使用されることが多く、「や」で俳句が切れるのである。「や」は切れ字そのものである。切れ字といえば「や」を指すといっても過言ではないのである。「や」は和歌でもほとんど使用されておらず、詠嘆としても活用されていないのである。
それぞれの句の一般的活用形
「や」の句・・・・・・・○○○○や○○○○○○○・○○○○○
「けり」の句・・・・・・○○○○○・○○○○○○○・○○○けり
「かな」の句・・・・・・○○○○○・○○○○○○○・○○○かな
さて、「けり」は下句につくことがとても多い。中句につくこともあるが、佳句はほとんどない。和歌で使用される場合は、「詠嘆」として活用されることもある。
また、「かな」も「けり」とほぼ同様の活用がなされており、和歌でも「詠嘆」活用である。「かな」は和歌でも俳句でも、圧倒的に句の終わりについて活用される。
つまり、「や」のような切れではなく、詠嘆としての響きなのである。この二つは響きを楽しむ切れ字なのである。
「や」こそ本当の切れ字である。句をまさしく切っているのである。また、響きもあるのであるが、切れの響きである。詠嘆の響きではないのである。「けり」と「かな」は亜流の切れ字である。和歌からやってきた外来としての切れ字なのである。「や」と「けり・かな」は分けて考えるべきである。