切れない俳句

 俳句に切れは重要であり、名句の多くは切れ字等を有効に活用している。では、切れない俳句とはどんなものなのであろう。切れ字のや、かな、けり、名詞止め等がなく、リズムが短歌のようになめらかに響く句であろうか。実験的に作ってみよう。
 切れない句にするには、助詞の「の」を活用し、句の終わりもやわらかに響く言葉がよいであろう。

涅槃図の中にも我の居るごとく      孝治

 声に出して読んでみると、「ごとく」の後で少し響く感じはするが、切れのあまり感じられない句であろう。やはり短歌的な雰囲気の句である。この下に何かつけられそうな気もする。
 さて、俳句としてはどうであろうか。やはり何か締まりのない感じはするが、全く鑑賞できないというものでもないような気がする。しかし、何となく俳句ではない気もする。慣れていないからであろうか。
 「気」もするばかりで、説得力がないのであるが、こうこう句ばかりが句集として揃うとそれなりに雰囲気のある句集になるような気もするのである。 やってみる価値はあるであろうか。何ともいえないのである。

                                                    2007.6.30