切れると何か
切れるとは、一つのものを鋭いもので二つ以上にすることである。紙は鋏で切るが、俳句は切れ字で切るのである。
さて、代表的切れ字は「や」「かな」「けり」といわれている。文末に切れ字がある場合、これを何故切れ字というのであろう。俳句が途中で切れていないのである。切れ字は俳句の文末にあってはいけないのである。
そのように考えると代表的切れ字は「や」ということになる。「や」は上句の終わり、中句の終わりに付き、下句の終わりには付かないのである。つまり、句の中に必ず存在するのである。だが「けり」「かな」は、ほとんど句の終わりに付く傾向にある。これは切れ字とはいわないであろう。しかし、次のような場合は切れ字と認めてもよいであろう。
ふるさとは美しきかな・信濃川
大雪は降り続きけり・山の寺
だが、「かな」「けり」は中句にはあまり相応しくないものである。やはり下句の終わりに付く場合が一番ぴったりするであろう。
ということは、本当の切れ字は「や」である。「かな」「けり」とは基本的に異なるものなのである。
2007.8.8