俳人と孤独

 
 俳人に孤独な人はいないと思われる。俳句には句会がつきものである。句会は楽しいのである。社交の場である。句を選んだり選ばれたり、どきどきしたり、悔しがったり、うーんと唸ったり、にやにやしたり、落ち込んだりしてとても楽しいのである。句会に出た人なら分かるであろう。俳人で句会嫌いはほとんどいないと思われる。句会に出たいが故に俳句を作っている人もいるくらいである。
 つまり俳人は人好きであり、語らいが好きなのである。孤独な人は全くいないとはいえぬが、めったにいないように思われる。あの松尾芭蕉でさえ、奥の細道の東北旅行に曽良と連れ立って行ったくらいである。それぞれの立ち寄った場所で句会を開いていたのである。孤独な旅ではなかったろう。ある面楽しい旅ではなかったかと想像するのである。俳聖の芭蕉ですらそうなのであるから、やはり俳人には孤独好きはいないのである。

                                                       2005 12 30