小春日と季節感
小春日は、早春のことではなく、立冬を過ぎてから春のように暖かい日和が続くことがあるが、そのことを指しているのである。小春とか小春日和、小六月などと謂われることもある。つまりの季語は冬の分類なのである。だがどうであろう。この言葉から冬が感じられるであろうか。私にはあまり感じられないのである。暖かい春の雰囲気である。しかししっかりとした暖かさではなく、どことなく不安定な暖かさである。これがこの季語の特徴でもあるが、その雰囲気をうまく利用すると秀句ができそうな気もする。冬であって冬でなく、春であって春ではないのである。
さて、角川の歳時記を開いて小春日の句を眺めてみると、それほど知られていない句ばかりが並んでいる。また例句も少ないのである。これはどうしたことであろう。詠むに難しい季語ということなのであろうか。もしかしたら不安定な季節感の季語は難しいのかも知れない。実証例が少ないので、断定できる訳ではないが、くっきり明瞭な季語という訳ではないので、そういう可能性が高い季語なのかも知れない。
2009.4.12