口語体俳句の切れ字
短歌で口語体はよく見られるようになってきたが、俳句ではそれほど多くは見られない。口語体俳句はもっとあってもよいと思う。では口語体俳句に使用する切れ字にはどんなものがあるのだろう。
代表的な切れ字として、「や けり かな」があるが、それ以外にも「ぞ もがな か よ つ ぬ し」などいくつかある。しかし、ほとんどが「や けり かな」の三つである。だが、この三つは口語では全く使用しないものである。だが、「ぞ」は口語でも使用する。たとえば、「テストを頑張るぞ」などと強める意味で活用する。これは口語体俳句でも使用できそうである。それから「よ」ならば「雪が降ってきたよ」などと詠嘆的に活用できる。
これらの切れ字で口語体俳句を考えてみよう。
秋深まり隣は何をする人ぞ
何とまあよく降ることよ雪五尺
どこかで見たことがあるような俳句ではある。それはとも角、「ぞ」と「よ」は十分通用するであろう。この二つは口語体俳句の切れ字として認めてもよいと思う。
また名詞止めも切れ字の作用を多少有している。これも口語体俳句では積極的に活用すべきであろう。
駅弁を一つ下さい桃の花 「桃の花」が切れ字の作用
神田川祭りの中を流れゆく 「神田川」が切れ字の作用
だが、口語体俳句において、切れ字はそれほど強い意味を持たないのかも知れない。切れ字そのものが文語体の発想だからである。口語体俳句の場合、一行詩のようになめらかに詠んだ方がいいのかも知れない。だが、これは十分な検証が必要ではある。
2005・11・25
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