名句を生む季語

   
 さて名句を生む季語とは、どのようなものであろう。そんなものはないと言う方もいるかも知れない。だが、ありそうな気がするのである。そのいくつかの条件を主観的に上げるなら、

○一般大衆に知覚的によく知られている。
○昔からよく詠まれている。
○不快感を与えないものである。

の三つが考えられる。

 歳時記からこの規準に合い、かつ名句の浮かぶ季語をいくつか上げてみよう。
植物
桜 梅 椿 牡丹 向日葵 鶏頭 朝顔 糸瓜 曼珠沙華 薄 葡萄 栗 柿 大根 桜桃 紅葉 など
動物
雀 鶯 燕 烏 金魚 秋刀魚 蛙 蜻蛉 飛蝗 蝶 蜂 蝉 など
自然
五月晴 五月雨 夕焼 雪 月 露 虹 など

 これらは季語そのものがくっきりとしており、どちらかといえば「日本の美」を感じさせるものである。季語そのものに魅力があり、それを十分引き出せば名句が生まれるということが考えられる。
だが油虫、凶作、風邪のような不快感を与える季語、あるいは、鳥曇、山笑ふ 、秋の声、竹の春などの抽象的季語には名句は少ないようである。
                            2005.12.22

ひとつもどる