俳句よりも短い詩に関する試み

 俳句は感動を与える五七五である。世界で一番短い詩ともいわれている。さて俳句より言葉を少なくして、感動的な句は作れないであろうか。
 五七だけで文学的価値のある句が作れるか試作してみよう。まず、名句の作り替えから取り組んでみよう。

降る雪や明治は遠くなりにけり    中村草田男

降る雪や明治は遠し      五七の句

 どうであろう。「なりにけり」という詠嘆の響きがないので、草田男の句よりもずっと変な感じがする。しかし、こんなものだと思えば、思えなくもない。

神田川祭りの中を流れけり     久保田万太郎

神田川祭りの中を         五七の句

如何であろう。この句はひっくり返して七五の方がいいかも知れない。

祭りの中を神田川       七五の句

 ということで、「五七の句」でも「七五の句」でもよいこととしよう。これで名句の作り替えではなく、新しい佳句は詠めないであろうか。季語も含めることとしよう。

ぼんやりと小春日和を    元旦や日の丸眩し     むささびやぱつと開きて 

一本の去年今年かな     心太ストンシュルシュル     沁みのない夏の空かな

ふんはりとぶつかる海月   夏の蝶汗かいて飛び     甲虫ひつくり返つた

黄金虫金持ちでなく     黒々と熱帯夜燃ゆ     水に死にをり赤蜻蛉

赤林檎大きな口が    刃にぞ映る桜や     いつも正面冬の虹

 思いつくまま句にしてみたが、如何であろう。才能があれば何とかなるような気もする。また自由律俳句という気もする。俳句より短くても句が作れるようである。五音だけの句、及び七音だけの句はどうであろう。七音だけの句はもしかするとできるかも知れないが、五音のだけの句は無理であろうか。やってみようと思ったが、止めることにしたのである。理由はないのである。

                                       2008.11.23