酒の席での話
酒の席で俳句についての議論をすることがある。しかしなかなか話がかみ合わないのである。それもその筈である。酔い人は自分のいいたいことを言って基本的にそれで満足するのである。人の話などどうでもいいのである。また、酔い人の話をよく聞いていると筋がほとんど通っていないのである。思いつきで次々に話が進むのである。俳句議論は深まりを見せないのであるが、句会などで言えなかったことが軽口で言えるので心地よいのである。また、酒での話には本音がよく聞かれるのである。
「先生の句の、あれは駄作だと思うね」とか「先生はどうしてあんな奴を高く評価するのだ」とか「俳句だけうまくても駄目だね」とか「俳壇には政治力も必要だ」とか「俳論なんて下らないね」とか「実作あるのみ」とか「この頃女性が増えてサローン化してきたな」とか「いろいろな句会に出て名前を売った方がいい」とか「金もないと困るな」とか「あの有名な俳人とあの俳人は仲が悪い」
とか「先生の悪口を言っている」とか「あの二人はできているんじゃないのか」とか「先生の句をどうやって手に入れよう」とか「先生に酒を飲ませ、酔い気分にしてから句を書いてもらおう」とか、様々である。どのようにしたらよい句が詠めるのだろうかという議論は酒の席には向かないのである。しかし、酒の席での話はやっぱりおもしろいのである。
2008.11.15