作文家

 私は現在俳句小説を書いているのであるが、妻にそのことを言ったら、
「また作文を、ですか」
と、私の顔をまじまじと眺めて宣うのである。
「価値の分からぬ一般大衆めが!」
と、妻を大いに侮蔑したら、
「作文家!作文家!きゃっ、きゃっ、きゃっ」
と、私を大いに愚弄して二階にそそくさと上がってしまったのである。
 私はぐっと唇をかみ締めた次第である。妻は私のやる気を削ぐ存在なのである。昔は優しい女であった。その優しさはどこへ消えたのであろう。幻を見ていたのであろうか。だが待てよ。「消えたものを探す旅、ないものを探す旅」、これは文学になるかも知れないな・・・・・・。そんなことは今はどうでもいいのである。現在のような劣悪な環境で、俳句小説は書けるのであろうか。主人公「富川祐介」の俳句の運命やいかに、なのである。

                                              2007.11.18