主宰者

 結社の主宰者にはいくつかのタイプがある。一代で結社を築いた主宰者と先生の結社を引き継いで主宰者になったタイプ、そして親の結社を引き継いだタイプである。
 一代で結社を築いた主宰者は、やはり大したものである。実力があり、指導力があり、統率力があり、人を惹きつける魅力があるであろう。弟子たちも主宰者に従い、結社における人間関係による争いも少ないであろう。またごたごたが起きたとしても主宰者が指導力で押さえることができるのである。結社全体に勢いがあり、宗教の新興勢力のように人も集まるであろう。
 初代の主宰者が死去して、何人かいる高弟の中から次の主宰者が決まる場合がある。高弟の力関係が最初からはっきりしている場合はそれほど問題ではなかろうが、力関係にほとんど差がない場合、これは問題である。分裂していくつかの結社ができる場合がある。しかしこの方が良いように思う。仲間を引き連れて独立するのであるから、初代の主宰者のような存在であり、結束力も高いであろう。しかし、話し合いで分裂せず、高弟の中から主宰者が選ばれた場合、それほど力が強いという訳ではないので、合議制になる場合が多いと思われる。主宰者は思慮と政治力がなければなかなかまとめていくことは困難であろう。
 親の結社を引き継ぐ場合、これも大変であると思われる。文学に血縁など関係があるのは可笑しいと感じる俳人はとても多いのである。影から正面から非難されるであろう。しかし、お花やお茶のように結社を継承できるのである。それは基盤がしっかりとしているからである。基盤とは、組織ということである。力のそれほどない主宰者であっても、高弟がしっかりとしており、彼らには主宰者になろうという野心が最初からないので、ピラミッド組織が組めるのである。主宰者は高弟の御輿に乗っておれば何とかなるのである。面倒なことは高弟が何とかやってくれるのである。他からの非難など無視し、その結社だけで俳句世界が構成できるのである。他の結社や俳句界の影響など、ほとんど受けないのである。
 いくつかのタイプがあることが理解できたであろう。自分にはどのタイプの主宰者、あるいは結社が合っているのかよく判断し、また、自分の句の傾向を認識して、決めるべきであろう。

                                 2007.10.7