真と新
真と新はよく対比される概念である。真とは、真理のことである。つまり一つの信じることを徹底的に追求し、深化し、真実を見つけ出そうということである。これが一般的に行われている文学の姿勢である。俳句もそれぞれの流派に分かれており、ホトトギス写生派ならば、その観点で究極まで追求し続けるということである。
また、新とは、新しいということであり、一つのことを徹底的に追求するというよりも、ああでもない、こうでもないと考え、新しい方法や発見が他にもないかと追求することである。
お宝探しに例えるならば、真は一つの場所を確信を持って掘り続けることであり、新はいろいろな処を次々と掘ってみてお宝を見つけようということである。
どちらの立場に立つかは人それぞれであるが、真の立場の人は信念があり、意志が強く、少しくらいのことではびくともしないのである。真理追究の人である。それに対して新しさを追求する人は、ややふらふらしているのである。あっちを探し、こっちを探し、そうこうしている内に、軽いなどど真理追究の人に非難されてしまうのである。
私は新のタイプである。一つの処にじっとしてることができずに、何処かにお宝がないかあちこち探し回るのである。俳句世界でお宝を探している時が一番楽しいのである。佳句を作った時よりもそちらの方が遙かに嬉しいのである。
真と新とは昔から仲が悪いのであるが、両方存在しないと芸術は進歩しないのである。私も時には真の姿勢で俳句を詠もうと思うのである。
2007.8.14