冬料理その他

 角川の俳句歳時記では、夏料理とは、見た目に涼しく、味のさっぱりとした夏向きの料理として定義されており、夏の季語としてもしっかり認定されている。生野菜のサラダや氷で冷やされた刺身などの料理、素麺、冷やし中華などが想像されるであろう。次のような句もよく知られている。

美しき緑走れり夏料理    星野 立子
運ばるる氷の音の夏料理   長谷川 櫂

 だが、春料理、秋料理、冬料理は、季語としてまだ認定されてはいない。
 春料理といわれてどのような料理を想像するであろうか。蕗の薹やタラの芽などの山菜の天ぷら、山菜料理、鰆の料理などであろうか。
 また、秋料理の場合はどうであろう。秋の味覚とはいうが、料理といえば秋刀魚の塩焼き、茸料理ぐらいのものであろうか。あまり頭に浮かばないのである。
 冬料理といえば、おでん、すき焼き、湯豆腐、鮟鱇などの鍋物がまず頭に浮かぶであろう。それにシチューなどの暖かい料理が想像される。
 さて、春料理、秋料理、冬料理のうち、季語に認定される可能性のあるものは、どれであろう。夏木立と冬木立とは、季語として認定されているから、冬料理であろうか。だが鍋物としての季語がしっかりと確立されているから、やや難しいであろう。また春料理と秋料理は、どうであろう。一般にはまだイメージがよくわかないのかも知れない。
 有名な俳人が春料理、秋料理、冬料理で句を作り、それが名句ならば季語として認定されるのかも知れない。でもなかなか名句はできないであろう。それは季語としてのイメージが確立されていないからである。

                                         2007.8.17