山の季語

 「山眠る」は冬の季語であり、「山笑ふ」は春の季語である。何故秋と夏にはそのような季語がないのであろう。あってもよいではないかということで考えてみることにする。
 夏の山は青々としているので、「山青し」であろうか。眠る・笑ふは動詞であるので、青しでは拙いであろう。鳥が囀り、若葉が茂るとしいうこで、「山喜ぶ」であろうか。しかし、「山喜ぶ」は六音であるので、今ひとつであろうか。では「山歌ふ」はどうであろう。

彼方まで緑の山並み山歌ふ       孝治

 さて、秋はどうであろう。「山休む」「山実る」「山走る」「山歩く」「山化粧する」などが浮かんだ。しかし、歳時記をよく調べると「山化粧ふ」があった。やや違和感はあるが、結局それでよいことにしよう。
 「山眠る」は冬、「山笑ふ」は春、「山歌ふ」は夏、「山化粧ふ」は秋ということでどうであろう。結局、新しい夏の季語として「山歌ふ」を提案するということである。

                                                   2009.4.29