五つの水の命


むかし、あったてんがの。
村のお宮さんにある夜、こじきがとまったんてや。ほうして夜中になったころ、馬のすずの音がしてきたんと。
「こんげな夜中に何だろ。」
と思うていたら、お宮の前で音がやんだんて。
「さあ、ちんじゅ様、下の村に今夜、子どもがうまれるすけ、はよいこうでの。」
「これは、山の神様、今夜はお客があっていかれんすけ、いいようにしてくんなせ。」
「なら、ちと行ってこう。」
と言うて、下の村に山の神様はいったがや。ちとたってもどってきて、
「今、もどったて。」
「それはご苦労様だこて。どんな子がうまれたがや。」
「男の子がうまれたが、この子が五つになる時、お祭りの日に水で命とられるようにしてきたて。」
ほういうて、山の神様は行ってしまわれた。
夜があけてから、こじきは、下の村に行き、昨晩男の子がうまれた家をさがしたと。
やっばりあって、昨晩の神様の話を聞かせたと。
ほうして5年たった祭りの日、その子の親が水に命をとられんように柱にしばりつけておいたと。
よそに嫁にいったその家の娘が帰ってきて、
「柱にしばりつけておくのはかわいそうだて。」
といって、なわをほどいたんだと。
ところがその子があそんでいるうちに、何かのはずみにその家のノレンに首がひっかかって死んでしもうたんだと。
そのノレンには波のもようがついていたんやて。
いちごポンとさけた。

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