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むかし、あったてんがな。
ある男が山にのぼったんと。途中にわき水が出ていたんてや。そのわきにしゃれこうべ(ドクロ)が一つあったと。
男が水をのんで休んでいると、しゃれこうべが、
「おい、おまえはどこのもんだ。」
といったんと。男はぶったまげてしまったんども、
「この山のむもとのもんだて。」
とこたえたと。しゃれこうべは自分が生きている時のいろんな話しをしてくれたと。
男と別れる時に、
「おい、ぜったいにおれのことは人に言うなや。言うとおまえにとって悪いことが起こるからな。」
といったと。男はしゃれこうべのことをだれにもいわんかったんと。
ある年、たいくつなおとの様が、
「何かめずらしいことはねえか。教えてくれればほうびをとらす。」
と国中におふれを出したんと。
男は、それを聞いてしゃべるしゃれこうべのことを思い出したんと。
おとの様にそのことを教えて、おとの様とそのけらいたちを山につれてったんと。
わき水の近くにやはりしゃれこうべがあり、
「おい、しゃれこうべ。しゃべれや。」
と男はいったんども、ついにしゃべらなかったんと。
おとの様はえらくおこり、
「うち首にしてやる。」
といって、けらいのかたなで男の首をはねてしまったんと。
男の首がコロンところがって、しゃれこうべのとなりにならんだんと。
みんながいなくなってからしゃれこうべが、
「だっけ(だから)、いうなっていったろが。」
と男の首にいったんと。
いちごブラーンと下がった。
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