かえるかか


むかし、あったてんがな。
あるひとりもんの男が山道を通ると、と中にへびがかえるを食おうとしてたんと。
男はかわいそうに思い、へびをおっぱらってやったんと。
かえるはグァグァとなきながら草むらに入って行ったと。
それからある晩、すみやきのあんにゃの所に かわええ娘がやってきて、
「今夜、一晩だけでいいすけ、とめてくれっしゃ。」
「食い物はねえけど、それでもいいならとめてもええよ。」
「かまわねすけ、とめてくらっしゃい。」
といって、とめてもらったっての。ほうしているいうちに一晩、二晩しているうちにすみやきのあんちゃんのかかになってしもうて、子までもできたってよ。
ある日、かかが
「今日は親の法事があるすけ、里にかえらしてもらいます。」
「そうか、そんなら帰れや。子が泣くとうるさいだろから、おいてけや。」
ほうして、かかは里に帰ったんと。
あんにゃが子をあやすために ぶらぶらと散歩にでかけたんだと。ほうすると田んぼの所でかえるがいっぺことかたまって鳴いていたんがや。その真ん中にでっけいかえるがのっかっていたんよ。
あんにゃは、おもしろ半分で、土くれをそれに向けて投げたんがや。ほうすると真ん中の大きなかえるに土くれがあたったんだと。まわりのかえるはおどろいてみんな逃げてしまいやがった。
そうして家に帰っていると、かかが帰ってきて、
「今日の法事は大変だったよ。お寺の坊様がお経を読んでいる時にばんじゃくが頭に落ちて死んでしもうたよ。大さわぎになってしもうたがや。」
それを聞いて、あんにゃは、
「そんなら、お前は、かえるであったか。」
といったとよ。
「ばれてしもったか。」
というて、かかはかえるになって、どこかへ行ってしもうたがや。
いちごぶらんと下がった。


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