きつねのお産


むかし、あったてんがな。
ある晩、村のとりあげばさ(さんばさん)の所へ若い男がやってきて、
「かかが子をうみそうなんで、はよきてくんなせ。」
といって、むかえにやってきたんて。
とりあげばさは、その男につれられてその家にいったと。
その家はすっげほそ長かったと。かかは難産で苦しんでおったが、何とか赤っ子を取り上げることができたんてや。
礼に小判とカモ一羽をもろて、家まで送ってもろたんと。
朝げになってよく見たら、小判は葉っぱになっておったが、カモだけはほんものだったんて。
服にはどろときつねの毛がついておったし、そういえばかかのはらには毛がいっぺあったと。
「あれはきつねのお産だったんけ。」
そういったと。
いちごポンとさけた。


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