おそうしき


むかし、あったてんがな。
あるひとりもんの男がしんせきの家で酒をいっぺ(たくさん)のんで帰る途中、向こうからそうしきの列がやってきたんと。
何人もの村しょ(村人)がしずしずと歩いてきたがや。
知っている人ばかりだったんで、
「おい、だれのそうしきらね。」
と聞いたんやが、だれも教えてくれんかったと。
それで、男はあとをついて行ったんと。
そうしきの列は村はずれの寺につくと、かんおけをかついで寺のまわりを3回まわったんと。ほうして、ぼちに行き、おんおけをおろしたと。
村しょはうめる穴をほり、かんおけをその穴に入れたんと。
おかしなことに、土をかけんと、そのまま村しょは帰ってしまったんやて。
男は、だれが死んだのか知りたくて、その穴に入り、かんおけを開けたんと。ほうしたら、自分がそこにいたんやて。
男はぶったまげて、逃げ帰ったと。
と中にほそい橋があってのう。酒をのんでた上にあわてていたんで、足をすべらし川に落ちてしまったんと。
川の水は少なくて、石に男は頭をぶっつけてしまったと。
男は、春の星空をながめながら死んでしまったんと。
いちごブラーンとさがった。

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