つるにょうぼう


むかし、あったてんがな。
ある村にまずしい一人のあんにゃが住んでおったんてや。
ある日、山でりょうをしていると、けがをしたつるがばたばたしてたんと。よく見ると足に矢がつきささっていたんで、あんにゃはその矢をとってやったんてや。つるはバタバタとしながら何とか空に飛んでいったんと。
ほうして二三日たったある晩、
「道にまよってこまっております。一晩とめてください。」
といって一人のかわええあねさが戸口にたっておったんと。
「食いもんは何もねえが、それでもええが。」
「かまいませんけ、とめてください。」
といってとまったんてや。
朝、あんにゃが起きてみると、おねさがまんまをつくり、そうじまでしてたんと。それで帰るかと思ったんやが、二晩、三晩とまったんてや。そのうち、あんにゃのにょうぼうになってしもうたんてや。
ある日、わたしははたおりがとくいでなんで、おらせてください。」
とあんにゃにいったんてや。
あんにゃは、はたおり機をよういしてやったんと。
「わたしは、おる所を見られたくありません。どうか見ないでください。」
「よっしゃ、みんよ。」
と、あんにゃはいったんと。
あねさがおったおりものは、そりゃあとてもすばらしいもんで、町でバカたかいねで売れたんと。
あんにゃはよくが出てきて、またおってくれとあねさにしつこくたのんだんてや。
それであねさは、おることにしたんてや。
ある晩、あんにゃは、あねさがおる所を見たくなり、そっとのぞいたんと。
すると一羽のつるがはたをおっていたんてや。
あんにゃがのぞいていることに気づいたつるは、はたおりをやめ、
「わたしがつるであることがばれてしまいました。もうここにはおられません。」
ほういって、外に出ていったんと。
あんにゃはおいかけたろも、つるは空のかなたにいってしまったんと。
いちごブラーンとさがった。

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