うらしま太郎
うらしま太郎が、浜辺でガキどもにいじめられていた亀を助けたんやが、その亀につれられて海の竜宮城に行ったんてや。そこでおとひめ様と三年すごしたと。のんだり、食べたり、魚の踊りをみたりしてとっても楽しかったと。だが、うらしま太郎は親のことがだんだんと心配になってきて、
「一度家に帰られてくだせえ」
とおとひめ様にいったんと。
おとひめ様はずっといてほしかったんやが、どうしても一度帰りたいというすけ、許すことにしたと。帰るときに、おとひめ様はおみやげとして玉手箱をもたせたと。
「これはけっして開けてはいけませんよ」
と、おとひめ様はうらしま太郎にいったと。
うらしま太郎は亀にのってふるさとの浜辺についたと。うらしま太郎が自分の家にいったんやが、なんにもなかったと。また村もまったく雰囲気がかわっていて、知り合いもまったくいなかったと。ある物知りの年寄りがその村にいてな。その年寄りに聞くと、今から三百年ほど前にうらしま太郎ていう人が亀に乗って海に消えたという話しを教えてくれたってや。
「ほうか、ほうか、三百年もたっていたんが・・・」
うらしま太郎はがっくりとして浜に座りこんだと。それから、おとひめ様からもらった玉手箱を開けてみることにしたと。はらがへって食いもんでも入っていないかと思うたんてや。
玉手箱を開けると白いけむりがもくもくと上がり、うらしま太郎はいっぺんにしらがの老人になってしもうたと。玉手箱の中には鏡が入っていて、その鏡で自分の姿をまじまじと見たと。
「ああ、三年は三百年だったんか・・・。この玉手箱は自分の年をふうじ込めてくれたんやな・・・」
うらしま太郎はがっくりして、死んでしまおうと思い、海に入ったと。すると亀が現れて竜宮城へ連れて帰ってくれたと。うらしま太郎が竜宮城にもどると前の若いうらしま太郎の姿に戻ってしまったと。
おとひめ様はうらしま太郎を見ると、とても喜んだと。うらしま太郎も泣いて喜び、ここでずっとおとひめ様と暮らすことにしたと。いちご、ぶらんと下がった。
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