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むかし、あったてんがな。
ある村にじさとばさが住んでいたと。
じさが山の畑で草取りをしておると、すぐ近くの大松のわきに白いひげをはやした山の神様がやってきて、
「じさ、その年でよく働くのう。じさに若がえりの酒をのませてやろうかいの。」
「へえ、ありがとさんで。」
ほうして山の神様は、酒のびんからさかずきに酒をついでくれて、それをのませたてや。
じさが、ぐいとのみほすと、まがった腰がピンとのびたんやて。ほうしてさかずきを山の神様に返すと、ふっと見えなくなってしまったてや。
それからじさは、力が体にみなぎり畑仕事をしてもつかれなかったんと。
うちへかえるとすぐ、
「ばさ、ばさ、わしを見てみろや。どれくらいに見えるかのう。」
「三十くらいに見えるけんど、どげんしてそんなに若くなったんかいな。」
じさは、ばさにいままでのことをいうたんてや。
それでばさも
「おらも若くしてもらうがや。」
といって山の大松のところにでかけたってや。ほうしるとまた山の神様がやってきたそうな。
「神様、わしにも酒をのましてくんなせや。」
「ええぞ、ええぞ。」
ほうして山の神様から酒の入ったさかずきをもらい、それをのみほしたんやて。ほうしると、腰がピンとのびたってな。
ばさはよくをかいてしまい、もういっぱいもらったそうな。それもいっきにぐいとのんだってや。
ほうしると、赤んぼうになってしもうたんだと。山の神さまはどっかいってしもうたと。
じさはなかなかばさが帰ってこんすけ、心配になり大松のところにいったんてや。ほうしると、赤んぼうが泣いていたんてや。
それを見て、じさも泣いたってや。
いちごブラーンとさがった。
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