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むかし、あったてんがな。
ある村に子どものいないじじとばさがすんでいたんてや。
「なあして子どもかできんかったかいの。子どもがほしいの。」
とばさがいうと。
「ばさ、しょうがねって。あきらめるしかねって。」
といってためいきをついておったが。
あるふぶきのふく夜、
一人のめんこい十さいぐらいの娘っ子が二人の家にやってきて、
「一晩、とめてください。」
といってきたがや。
髪の毛はながく、色はとても白かったと。
「ええとも、ええとも。寒かったろ。はよいろりにあたれや。」
とばさはいったと。
じじとばさは、その娘がえらく気にいったと。
でも娘っ子は、なかなか火のそばにいかんかったと。
「はらもすいてんだろ。」
「はい。」
「そうだろ、そうだろ。すぐまんま(ごはん)食わせてやるがね。」
「でもひゃっこい(つめたい)まんまがええ。」
と娘っ子はいったがや。
娘っ子のいうとおり、ひゃっこいまんまを出してやったら、えらい喜んで食ったと。
「今夜はつめてえから、ふとんをたくさんかけてねなせや。ゆたんぼも使えや。」
「土間のわらの所で十分だすけ。」
と娘っ子はいったども、ばばはあったかくして寝かせたんてや。
次の朝、娘っ子はどこかに行ってしもうたんと。
ふとんは水でぐっしょりぬれていたんと。
娘っ子は雪娘で、あんまりあったかくしたすけ、とけてしまったんてや。
いちごブラーンとさがった。
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