はじめに

 長谷川主宰が「奥の細道を読む」(2007年出版)という本を書いたのである。それを読みながら、長谷川主宰は楽しみながら書いたんだろうということが容易に想像できた。あたかも奥の細道を芭蕉と旅しているかのようである。それで私も芭蕉は好きな俳人の一人であるので、芭蕉と一緒に旅をしたくなったのである。しかし、実際に旅ができる訳がないので、芭蕉の句や旅の日程などを参考にし、「バーチャル奥の細道」という物語を書くことにしたのである。ついでに芭蕉の句を分析することにより、芭蕉から間接的に指導を受けるという形式を思いついたのである。それで句から指導を受けて句を詠んだりするのであるが、私の代わりに楚良(実際に芭蕉と旅をしたのは曾良)、北肢(実際は北枝)、等才(実際は等栽)という架空の三人に成りすまして旅を続けたのである。実に楽しい架空の奥の細道の旅であった。書くことが、また芭蕉から架空の指導を受けることがとても楽しかった次第である。
 それから芭蕉の句を分析することが、自分にとってとても勉強になった次第である。芭蕉は大変な技巧派であり、もしかしたら「わびさび」も「かるみ」も技巧の冴えがないとなかなか到達できないのではないのかという気もするのである。「素直な心で素直にわびさびの句を・・・」、などという安易な姿勢では真似ができないということであろう。誰でも真似が簡単にできれば芭蕉は大した俳人ではないということなのである。奥の深い芭蕉の世界である。
なお、旅行日程や月日は、実際の旅とほぼ同じである。(いくつかの資料を調べて書き込んだ。)また、芭蕉の句以外の句は、全て私の句である。これは芭蕉の句を引き立たせる意味合いがあり、下手なのはそういうことということで、あしからず・・・。

                                                  2008.6.13