良寛様を慕う文学

                                                             小山 宗太郎

 良寛様の和歌や俳句、漢詩などを調べていると不思議に思うことがある。本当にこの作品は良寛様が作ったのであろうかということである。特に俳句などは偽物が混じっているように感じられる。中には良寛様の代表作としてまかり通っている作品もある。良寛研究家の中にはそれを厳しく指摘する人もいるが、全体の雰囲気として「まあまあそう堅いことを云わずに」ということで、許容している感じすらするのである。
 こんなことでよいのであろうかと思う反面、他人が作った俳句や和歌が勝手に良寛様のコを慕ってやって来るという考え方もある。それらの文学は「是非とも良寛様の作品にしてください」と頭を下げて良寛様にお願いするのである。良寛様も頭を下げて強くお願いされると断れない性格であるので、そのままにしてしまうのである。それで調べれは調べるほどいろいろな処から作品が現れ、作品数がどんどん増えていくのである。「そう堅いことを云わんでのう」という越後人の性格もあると思うのであるが、やはり問題なのではなかろうか。
 また、これに金銭が絡む書となると大いに問題である。良寛様の偽物の書は恐ろしく膨大な量が出回っている。その偽物を何百万もの金を出して買う人もいるのである。良寛様は人を騙すことを間違いなく嫌っているので、あの世で大いに嘆いていることであろう。「まあまあそう堅いことを・・・」などとは決して云わないのである。

                                                                      2011.4.17作成